2017/03/18

【読書日記】坂口安吾 白痴



2017-14
坂口安吾 白痴(中央公論社版 初版)
220頁まで

ここ数日は安吾の小説集を読んでいます。
最近は長編ばかりでしたので、
短編集を読み進めるリズムがすこし新鮮です。

作品のなかにはユーモアを感じさせるものもあり、
「勉強記」などは読んでいて笑みを漏らしそうになる処も。
最初の「外套と青空」の調子でずっと進むのかと
思ってましたので、意外でした。


2017/03/14

【読書日記】坂口安吾 白痴



2017-14
坂口安吾 白痴(中央公論社版 初版)
50頁まで

表題作を含む小説集です。
巻頭の「外套と青空」を読みましたが、
無骨で淡々とした文体だと思います。
感情が何に依っても包まれていない、
とでも言うのでしょうか。そんな感じがします。

肉欲、というものそれ自身には
底など無いのではと思われるほどの、
湿度と暗い靄の様な中に心を浸しても、
戸外に出て青い空の下に身を晒したとたん、
自身のたった今居た、暗くじめじめした世界など
瞬間的に吹き飛んでしまう、
そういう忌憚のない移り身の速さが、
若き頃の罪の無さだと思います。

「外套と青空」という表題の意味が
終わりまで読み進めてみて解ります。

2017/03/14

【読書日記】カフカ 審判



2017-13
フランツ・カフカ 審判 本野亨一 訳(角川文庫 第24版)
読了

「審判」を読み終えました。
とうとう最後まで、Kがなぜ起訴されたのか
判らないままでした。
それどころか、最後は処刑されてしまいました。

こんな理不尽さに、爪を立てることすらできず、
絶えず頭上にある得体の知れない大きなものに
引きづり回され、押し潰されるしかなかったのです。

彼の職場の人たちは、
彼が散歩した街並みは、
何の変わりもなく昨日の続きの今日が在り、
明日がまた来るのです。

ある意味、今日でも
Kの時代とは少し相貌が異なっていても、
この世の中に流れる、何か通奏の様な概念、
それは虫眼鏡で拡大して見れば何のことはない一人の人間であっても
退いて眺めれば得体のしれない抗しがたいもの、
そういう、油断のならない(その時にはもう手遅れ)とでも言うべき
不気味なものが、この空の下にも流れている様な気がします。


2017/03/12

志賀直哉 早春(小山書店版 単行本)



志賀直哉 早春
小山書店版 単行本 第3刷
印刷 帝都印刷(株) 昭和17年11月5日(二千部)
製本 山田製本工場
配給元 日本出版配給(株)







こういう本を見るとつくづく、
本というものは総合的の芸術だと思います。
中身の物語はもちろん、書体や活字の大きさバランス、
紙の質感、色の合わせ具合、装画。
こういったものがすべて併せられて、
ひとつの作品になるのだと思います。

函の紅がいいです。取り出すと、
表紙にも紅い花が美しいと思います。

小山書店、という出版社を私は初めて知りました。
Webで調べてみると、かつて存在した出版社だそうですが、
D・H・ローレンス「チャタレイ夫人の恋人」(伊藤整 訳)を
出版したことで、わいせつ物頒布罪に問われ、
その影響もあり倒産した様です。

志賀直哉の作品は、
文庫で「暗夜行路」を読んだことがあります。
ただ、あまり身を入れて読んでいなかったので、
ほとんど印象に残っていないのが正直なところです。
この「早春」もたまたま古書市で出会ったのであって、
志賀作品をきちんと読んでみるきっかけに
なればいいと思います。


2017/03/12

【読書日記】カフカ 審判



2017-13
フランツ・カフカ 審判 本野亨一 訳(角川文庫 第24版)
178頁まで

「審判」を読み進めています。
それにしても、物語はもう後半に差し掛かっていますが
ヨオゼフ・Kがいったい何の容疑で起訴されているのか
一向に明らかにされません。
おそらく主人公自身にも判っていないのです。
にも関わらず世の中の人々はKが起訴された事を
ちゃんと知っています。
何とも不可解な物語です。

自分ではどうにもできない手の届かないところで
事態は進んでゆきますし、仕事へ向けるべき集中力を
突如巻き込まれた訳の判らない訴訟に削がれてしまいます。

この小説を読んでいると、
「社会」と「個」というものを考えてしまいます。
社会を構成しているものは個であり、
その中の一人一人と接している分には
相手も同じ様に生活を営む自分と同じ人間なのですが、
それが集まり、自分と対する「社会」となった途端、
どうにも動かせぬ不気味な一面を内包するのではないでしょうか。

人が集まると、それはシステムの様なものになり、
やがてその仕組み事態が時として
人間を苦しめる様なこともきっとあるのだと思います。


2017/03/05

【古書検印集】夏目漱石 草合(春陽堂 縮刷第13版)



夏目漱石 草合(春陽堂 縮刷第13版)
奥付より



この縮刷13版は大正9年の本です。
漱石は大正5年に亡くなっていますので、
それからしばらく経って世に出た本です。

今、ふと思ったのですが、
漱石の本に検印を押していたのは誰だったのでしょう。
もちろん生前から漱石自身が
せっせと一人で押印していたなどと考えるのは
ちょっと不自然だと思うのですが、
もしかすると、家族総出で分担して押印していたのでしょうか。
そういう場面を想像してみると、ちょっと可笑しいですね。


2017/03/05

尾崎紅葉 多情多恨(岩波文庫)



尾崎紅葉 多情多恨
岩波文庫  第3刷
印刷 三陽社 平成25年11月6日
カバー 精興社
製本 中永製本





これは昨年読んだ本です。
物語はまさに「多情多恨」と呼ぶに相応しいもので、
これ以上似つかわしい表題はないのではと思います。

主人公の鷲見はとにかく、
亡くした奥さんが恋しくて恋しくて仕方がないのです。
奥さんもここまで慕われて幸せだ、というよりも、
こんなにいつまでも恋い焦がれられては
死んでも死にきれないのではないでしょうか。

親友の葉山はこんな時、
大いに力になってくれるのではありますが、
鷲見は葉山の奥さんが何処となく苦手であって、
葉山には会いたいけれども、
彼の奥さんが家に居る時はどうも
気が重たくなってしまうのです。
そこまで友人の女房を嫌う理由もないのでは
と思ってしまうのですが、
この辺りの描写が実に滑稽で、また微笑ましいのです。
要するに、人付き合いが苦手なのですね。

私には鷲見の人となりに、
どことなく共感できる部分もありましたので、
かなりの長編なのですが
とんとん読み進めてしまいました。

ちなみに、物語の処々に挿絵があって、
いいアクセントになっています。


2017/03/04

彩の国 所沢古本まつり



今日は古書会館で催されている市を訪れようと、
神保町か高円寺に行こうと思っていたのですが、
昼くらいまで布団の中で寝たり起きたりを繰り返してしまいました。
週末の朝はつい、自分に甘くなってしまいます。

やっとのことで布団を押入れに仕舞い込み、
掃除洗濯を終わらせてみればもう午後二時を回っており、
とてもこれから古書会館へ行ってゆっくり背表紙を眺める時間など
無いのでした。

でも所沢の古本市なら夜までゆっくり見られることに気づき、
そちらへ足を運びました。
所沢駅を降りてすぐの、くすのきホールというところなのですが、
会場の広さにはとにかく圧倒されました。
こんなに規模の大きい古書市があるのか、というくらいです。
すべての背表紙を眺めて回るのに、
いったいどれくらい時間が掛かるのかと思ってしまう程です。

たぶん、2、3時間は滞在したでしょうか。
気づけば窓外は暗闇でした。
最後の方はもう、立ち眩みがするくらいで
気づけば9冊も手にとっていたのですが、
お会計は二千円ちょっとでお得な買い物だったと思います。
楽しい古書市でした。


2017/03/04

【読書日記】平成29年3月3日



2017-13
フランツ・カフカ 審判 本野亨一 訳(角川文庫 第24版)
52頁まで

カフカの作品は少し前に「変身」を読んでいます。
そして今度は「審判」なのですが、
主人公がいきなり理不尽な境遇に置かれるという点では
物語の始まり方が「変身」に似ているかもしれません。
冒頭はこんな感じです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何者か、ヨオゼフ・Kを密告した者があるに相違ない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「変身」もそうですが、
書き出しから物語に引き込まれてしまいます。


2017/03/02

【読書日記】平成29年3月2日



2017-12
谷崎潤一郎 細雪(中央公論社単行本 第5刷)
読了

「細雪」を読み終わりました。
ずいぶん長く付き合いましたので、
この姉妹と共に在る日々が今夜で終わりかと思うと
すこし寂しい様な気もします。

それでも、物語はいつも本棚に在ります。
また折に触れ手に取り、とりとめもなく頁を繰っては
ああ、こんな場面もあったと懐かしく
想い出すでしょう。

明日からは未読のカフカが棚に在りますので、
それを読み始めようかと思います。