2017/07/10

【読書日記】三島由紀夫 美徳のよろめき(講談社版)



017-30
三島由紀夫 美徳のよろめき
講談社版 第4刷
76頁まで

今日から三島さんを読み始めた。
「美徳のよろめき」という表題が
端的にこの作品の内容を表していると思う。
まだ前半までしか読み進めていないけれども。。

主人公の節子は旦那と夫婦の営みが殆どなく、
むかし唇を交わした土屋と逢瀬を重ねてゆき
徐々に離れられなくなってゆく。

三島さんは節子の心の機微を
とても細やかに描いていると思う。
土屋に傾くなかで節子が妊娠した子は
実の夫の子供であったのだけれども
それでも堕ろしてしまう。
そこに至るまでの心の移ろいなど
普通、女性でなければ描けないことだと思う。

いつだったか、ドナルド・キーンさんが
とある番組の中で言っていた。
ノーベル文学賞に日本人を推すのであれば誰を推薦するかと、
スウェーデンアカデミーから意見を聴かれたことがあったらしいのだけれど、
谷崎純一郎こその栄誉にふさわしいと答えたそうだ。
谷崎文学という大きな山脈があって
それを無視できなかったと言っている。
二番目に推したのは川端康成、
三番目が三島由紀夫だったそう。
キーンさんは作家の業績に加え、
日本独特の年功序列も重視して誰を推すかを決めたそうだ。
結局、谷崎さんは亡くなって(それだけが理由ではもちろんないだろうけれど)
川端さんが受賞された。

こんなことも言っていた。
三島由紀夫はおそらく現在最高の作家だが、
この若者が支持され谷崎と川端の受賞が見送られたとすれば、
日本の一般市民はとても奇妙に感じるだろう、と。

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