2017/01/16

【読書日記】2017年1月16日



武者小路実篤 若き日の思ひ出(角川文庫 第36刷)
158頁まで
読書番号2017-6

こんばんは、連日寒いですね。
ここ数日この小説を読んでいる訳ですが、
武者小路実篤の文体はとても独特だと思います。
なんというか、すごく素直な感じがします。
あんまり練らない、と言ったら語弊があるのかもしれませんが、
独特の調子ですね。うまく言い表せないのですが。
それだからかもしれませんが、
主人公の野島がとても愚直で憎めない様に思えます。

実篤の描く絵と、そこに添えられた筆書きの言葉は
なんとなく小説での語り口の雰囲気を持っていると思います。

今朝読んでいて一箇所、
思わず微笑んでしまった処があります。
野島が宮津の妹(正子)に会いたくて家を訪ねたのに、
正子は家庭教師に勉強を教わっていて一向に部屋から出てきません。
野島は腹を立てて帰ると言って出てゆこうとするのですが、
その時正子が姿を表すのです。

その部分を抜粋してみます。(101頁から102頁にかけての部分)
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「今日は之で失礼します、また来ます」
「いゝぢやありませんか。お久しぶりですもの」
「僕も夕飯をつくらしてゐるので、とめたのだがどうしても帰ると言ふので」
宮津は私が帰りいいやうに助言してくれます。
「どうしてもお帰りにならなければならないの」
「そんなことはないのです」
「それならお帰りにならないでいゝのでしよ」
「えゝ、いゝのです」
私は他愛なく残ることにしました。
宮津に私の腹の底を見すかされたかも知れません。
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この変わり身の早さには可笑しくなってしまいます。
でも思春期というものはきっとこういうものかも知れません。
ほんのちょっとのことで嬉しくなったり、
または塞ぎ込んだり。
野島には共感できる処も多いのです。

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