2017/01/19

【読書日記】2017年1月18日~19日



大江健三郎 芽むしり仔撃ち(新潮文庫 第48刷)
186頁まで
読書番号2017-7

九章に差し掛かりました。
もう終盤です。
主人公が初めて恋ごころを抱いた村の娘は疫病で死に、
少年たちは地面に穴を掘って娘を埋めます。
弟の可愛がっていた犬が疫病の元凶とされて殴り殺され、
犬の死体は感化院の仲間に焼かれます。
少年たちはまだ発症していないものの、
自らも疫病に罹ったのではないかという恐怖に怯えます。

どういう設定で、どういう人物の
またどの様な心象を描くのか、という意味では
この小説は特異だと思います。
大江さんの何がしかの個人的体験や見聞きしたものが
ベースになっているのか、
それとも、そういうことが日本の彼方此方に
在った時代であったのか、想像もできませんが。

この小説に出てくる村人たちについては
小説「飼育」で黒人兵を監禁する村人たち、
或いは「性的人間」に出てくる耳梨湾の人々からも
同じ匂いを嗅ぐことができる様に思います。
ある種の不気味さを持った集団、とでも言いましょうか。
でも、その集団も個々に焦点を当てれば、
食べ、眠り、排泄をし、泣いて笑う普通の家族だったりするのです。
(その代表が疫病で死んだ娘とその母だったり。)
人というものがある種の集団に属したり、
信条を宿したりした時に纏う別の非人間的な側面の様なもの、
そういった恐ろしさや不気味さといったものを
大江さんの小説はあぶり出しますね。

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