2017/03/05

尾崎紅葉 多情多恨(岩波文庫)



尾崎紅葉 多情多恨
岩波文庫  第3刷
印刷 三陽社 平成25年11月6日
カバー 精興社
製本 中永製本





これは昨年読んだ本です。
物語はまさに「多情多恨」と呼ぶに相応しいもので、
これ以上似つかわしい表題はないのではと思います。

主人公の鷲見はとにかく、
亡くした奥さんが恋しくて恋しくて仕方がないのです。
奥さんもここまで慕われて幸せだ、というよりも、
こんなにいつまでも恋い焦がれられては
死んでも死にきれないのではないでしょうか。

親友の葉山はこんな時、
大いに力になってくれるのではありますが、
鷲見は葉山の奥さんが何処となく苦手であって、
葉山には会いたいけれども、
彼の奥さんが家に居る時はどうも
気が重たくなってしまうのです。
そこまで友人の女房を嫌う理由もないのでは
と思ってしまうのですが、
この辺りの描写が実に滑稽で、また微笑ましいのです。
要するに、人付き合いが苦手なのですね。

私には鷲見の人となりに、
どことなく共感できる部分もありましたので、
かなりの長編なのですが
とんとん読み進めてしまいました。

ちなみに、物語の処々に挿絵があって、
いいアクセントになっています。


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