2017/03/21

【読書日記】谷崎潤一郎 鍵



2017-15
谷崎潤一郎 鍵(中央公論社版 初版)
114頁まで

谷崎潤一郎の「鍵」です。
ちょっとすごい作品ですね。
いや、すごいというのは読む前から何となく、
分かってはいたのです。
でも、想像以上でした。

夫の性的嗜好が異常です。
妻を酔わせ、気を失ったところを裸にして
あちこち観察した上に写真にまで撮る、
そして、そのフィルムの現像を頼んだ相手は
木村という、自分の娘に引き合わせようとした男で、
その男に妻の裸の写真を見せることで欲情をそそるのです。
どうしてわざわざ、そんなことをするのかというと、
自分の妻が他の男から犯されるかもしれないという状況を
作り上げることで、夫は性的興奮を覚えるからなのです。

しかも、著者が用意周到だと思うのは、
この小説の語り口です。
この物語は夫と妻の日記を交互に読むことで
話が進んでゆきます。
読者は他人の日記を覗き見する様な感覚に陥り、
恥辱に満ちた夫婦関係を覗き見している私たち自身も
どこか恥ずかしい様な後ろめたさを感じる様になっているのです。

視覚的な効果も考えられています。
夫の日記は漢字以外の部分をカタカナで表記してあり、
どことなく不気味な印象を抱かせます。
妻の日記はひらがなで優しい語り口なのですが、
この妻は夫よりもむしろ淫欲が深く、
その優しい語り口で、
夫への性的不満足を書き連ねるのです。


スポンサーサイト

コメント

非公開コメント