2017/03/26

【読書日記】谷崎潤一郎 鍵



2017-15
谷崎潤一郎 鍵(中央公論社版 初版)
読了

「鍵」を読み終わりました。
夫は妻を満足させるための無理が祟って
体調を崩し亡くなってしまうのですが、
結局のところ、
それは妻が密かに望んでいたことでもあり、
むしろ夫に無理をさせることで
そうなるように仕向けたのだと、
日記の最後に告白しています。
それでも、夫の欲求を満たすことに貢献したのだから、
夫にとっても幸せな時間であっただろうと考えている様です。

日記というものはふつう、
後から自分を振り返るために書くものですが、
この夫婦はお互いに
相手に盗み見されることを想定して日記を書いています。
面と向かっては相手に言わないけれども、
ああしてほしい、こうであってほしいと遠回しに伝える訳です。
どこか奥ゆかしさの様なものを感じないでもありません。
綴られている内容には嘘も含まれており、
日記を読んできた読者も最後にそのことを知らされます。

この小説は偏った性的偏愛のみを描いた物語ではなく、
人間同士の微妙な駆け引きの心理も描かれていて魅力的です。
また、読者に伝えるための手法にも凝っていて、
あっという間に読み終わってしまいました。


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