2017/05/20

【読書日記】島崎藤村 新生(春陽堂版)



2017-25
島崎藤村 新生(春陽堂版 初版)
78頁まで

ここ数日は藤村さんの「新生」を読んでる。
当時としてはかなり衝撃的な内容の
作品だったのではないかと思う。
同居している姪と関係を持ってしまい子供ができてしまった、
というところから物語は始まり、
姪を日本へ残し、主人公はフランスへ旅立ってしまう。
ずいぶん自分勝手な話だと思う。
この先、どうなってゆくのだろう。

私の本棚にあるのは昭和4年に印刷された
春陽堂の初版。
九十年近く前の本なのに状態がずいぶん良くて
これなら読み終えるまでに頁が剥離したりすることもなさそう。
いつも外で本を読むので、
私は古い本でも容赦なくカバンに入れて持ち歩く。
でも布のブックカバーで保護はするし、
本は大切に扱っているつもり。
文化財みたいに過保護にするよりは、
頁を繰ってあげた方が本も喜ぶと信じている。


2017/05/13

【読書日記】河野多惠子 男友達



2017-24
河野多惠子 男友達(河出書房版 再版)
読了

読み終えた。
まだまだ、知らない作家の作品を
これから開拓していって読んでみないといけない、
そんな風に思う。

私は別に、文学で生計を立てている訳でなく、
自分の仕事と読書もまったく関係がないのだけれど、
本を読むことは続けてゆきたい。


2017/05/10

【読書日記】河野多惠子 男友達



2017-24
河野多惠子 男友達(河出書房版 再版)
122頁まで

ここ数日、「男友達」を読んでいる。
神保町の均一台で最近見つけた本。
河野さんの作品は初めて読む。

登場人物の仕草についての描写が独特で、
何気ない仕草でもけっこう細かいところまで描いている。

この本の初版は昭和四十年。
アパートの大家が住人の生活に干渉する様子、
主人公の市子が会社で窓外を眺めている場面で
都電が自動車に囲まれている様子など、
時代を感じさせる。

当時は携帯なんて無かったので、
電話の取り次ぎの様子など読んでいて面白い。

2017/05/06

【読書日記】吉行淳之介 湿った空乾いた空



2017-23
吉行淳之介 湿った空乾いた空(新潮社版 初版)
読了

ここ数日読んでいたのは
吉行さんのエッセイ。
恋人Mとの海外旅行の様子を描いたもの。

ひとすじ縄ではゆかない恋人で、
旅先でも喧嘩が絶えない訳だけれど
根底にはMに対する愛着のようなものが感じられて、
また、どことなくカラッとした湿度のない書きかたをしているせいか
楽しくサクサク読み進めた。

私は作家の小説作品ばかり読んでいて
エッセイにはあまり興味がなかったのだけれど、
読んでみると意外に面白いし、
話のなかで他の作家仲間のことについても触れていたりして
興味深い部分もある。

ちなみに、以前も書いたけれども
村上春樹さんのエッセイは酒の肴としてときどき読む。
この吉行さんの「湿った空乾いた空」は
最初小説だと思って買ったのだけれど
読み始めてみてエッセイであることを知った。

古書店散歩をしているからこそ
出逢えた一冊かもしれない。


2017/05/04

【読書日記】大江健三郎 見るまえに跳べ



2017-22
大江健三郎 見るまえに跳べ(新潮社版 第12刷)
読了

読み終えた。
三つ目に収められている「不意の啞」は
たしか以前読んでいる。
米軍の通訳をしている日本人の靴が紛失し、
村人が隠したのではないかと一方的に疑いをかける話。
逆上する通訳は村人からも、米軍兵士からも相手にされず
その振る舞いが滑稽にすら感じられる。
村人は直接弁明する訳でもなく、
でも、殺された村人の復讐のために通訳を殺害する場面では
言葉を発しないということが、とても不気味な印象を与える。
この、特定の個人でない「集団の不気味さ」とでもいう様な感覚は
他の大江さんの作品のなかでもしばしば顔を出す。

「喝采」は「暗い川おもい櫂」に通ずる感覚を含んでいると思う。
同性愛に溺れる主人公が、とある出来事をきっかけにして
普通の男の様に女も愛せる、といちどは自信を持つのだけれど、
結局それは勘違いであって、
一度は別れた同性の情人のもとに戻ってゆくという話。

「戦いの今日」で面白いと感じたのは
弟の心理的な「立場」の移ろいだった。
弟は憲兵に連れてゆかれる兄を助けられなかったために後ろめたさを抱く。
それを取り戻す(名誉挽回の)ために脱走兵を匿うことに
積極的な姿勢を見せたかと思うと、
いざそれを行う段になってみると恐怖心でいっぱいになってしまう。
それでも脱走兵との暮らしに慣れてしまうと、
今度は米兵に親近感すら抱く様になる。
稚拙な純情さでまったく汚れを知らない。
米兵にドブへ飛び込む様に言われても反抗することもできない。

大江さんのこれらの小説は独特の肌触り感があると思う。
とても黒くて重く、引き摺られる様なもの、とでも言ったらいいのか、
その黒いものには生理的に厭らしさを感じてしまう様なものも入っていて
それは以前「芽むしり仔撃ち」を読んだ時にも感じた。