2017/04/12

【読書日記】吉行淳之介 娼婦の部屋



2017-19
吉行淳之介 娼婦の部屋(文藝春秋新社版 初版)
読了

この小説集を読み終わり、
吉行淳之介という作家が好きになる。
というか、もっと若いうちからこの作家に
触れておけばよかった。

昨日挙げた作品のほか、
「白い神経鞠」、「人形を焼く」、「鳥獣蟲魚」も好きな作品。
共通しているのはどの作品も、
描かれている女性が魅力的だということかもしれない。
「鳥獣蟲魚」では自分と他との関係について
女性との関わりの中で描き出してる。

気に入ったところを引用してみる。(260〜261頁より)
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私が、彼女の左肩をぐつとうしろへ引張つたとき、
その貝殻骨の下に、思いがけないほど大きな暗いくぼみが
できたのに氣付いた。私は彼女をそのままの姿勢にさせて、
心臓の裏側のところの、暗いくぼみを見つめた。
「そうすると、骨がないので、落ちくぼんでしまうの。」
そして彼女はわざと陽気な聲を出して、
「そこに物が置けるのよ。マッチ箱でも、置いてごらんなさい。
さあ、はやく置いてごらんなさい。」
畳の上に、彼女の耳飾りの片方が、ころがつていた。
ガラスの耳飾りが、電氣の光をうけて、閃いていた。
その耳飾りをつまみ上げた。彼女の心臓の裏側の小洞窟で、
かすかな光が白く浮び上がつた。
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2017/04/12

【蔵書より】太宰治 八十八夜(南北書園版)



太宰治 八十八夜
南北書園版 初版
印刷 関東印刷(株) 昭和21年2月25日
配給元 日本出版配給統制(株)


以前の所有者のものとおぼしき蔵書印。







表題作を含む小説集。装丁が私好み。
ネットで調べてみたところ、
「八十八夜」が初めて単行本の中に収められたのはこの本ではなく、
昭和15年4月20日に竹村書房から刊行された
小説集「皮膚と心」に於いてが最初だったとのこと。


2017/04/11

【読書日記】吉行淳之介 娼婦の部屋



2017-19
吉行淳之介 娼婦の部屋(文藝春秋新社版 初版)
170頁まで

吉行淳之介を読んでいる。
小説集という体裁をとっているけれど、
著者自身の過去、特に子供時代について触れた
随筆と呼んでいい作品も含まれる。
文学を志していた父のことや、
気性移りの激しさで苦労させられた脚の不自由な祖母のことなどが
語られる。

読み進め、もう後半に差し掛かっている。
この本の表題にもなっている「娼婦の部屋」、
そして「寝臺の舟」が今のところ印象的。


2017/04/10

【蔵書より】三島由紀夫 剣(講談社版)



三島由紀夫 剣
講談社版 初版
印刷 星野精版印刷(株) 昭和38年12月10日発行
製本 (株)加藤製本所
装幀 真鍋博







この本とは先週末、本郷の古書店で出会った。
文学作品が主のお店ではないけれど、
三島さんの作品は幾つも並んでいて
その中の一冊がこの本だった。

レジに持ってゆくと、店主とおぼしき方が
「もうすこし綺麗だと良かったんだけれどね。装丁はいいよね」
私の本棚には経年でもっとボロボロになっている本も
並んでいるので、この本はじゅうぶん綺麗な方だと思う。
でもたしかに、三島さんの本は装丁が凝っていると思う。
そしてこの本も、いかにも三島さんという感じの装丁デザイン。


2017/04/09

【読書日記】安部公房 無関係な死



2017-18
安部公房 無関係な死(新潮社版 初版)
読了

今日は雨ということもあり、
一日部屋で過ごす。
珈琲を飲みながら、ときどき空腹を感じ
ハムとチーズを乗せて食パンを焼いたりもしながら、
公房さんの短編集を読み終えた。

先日触れた表題作と「人魚伝」が
いちばん印象に残っている。
「家」という作品も良かった。